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やさいすうぷの菜根亭 - 野菜スープ通販サイト

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やさいすうぷ誕生物語

私が初めて、徳島の「そば米雑炊」という郷土料理を口にしたのは、もう今から30年近く前のことです。

下で強く押さえればつぶれる程度の、心地よい固さのそばの実の食感と、根菜を醤油で煮込んだ素朴な味は、本当に、初めて食べるのになんだか心懐かしい思いがしました。


右も左も分からない慣れない土地で、営業で疲れた青年の心を、その懐かしい味は暖かく包んでくれ、食べているうちに、大粒の涙が後から後から溢れてきました。


毎月、徳島に行く度に「そば米雑炊」を食べるようになり、やがて、「そば米」を買って帰り、家庭で作って食べるようになりました。大きな鍋いっぱいに作っても、子供たちが何杯もおかわりをして、翌日まで残ったことは、ほとんどありませんでした。父が心臓発作で入院した時も、「病院の食事はおいしくないから、そばの雑炊を持って来てくれ」と言われ、毎日のように差し入れに行きました。


作るのは結構手間がかかるので、何とかもっと間単に食べられるように出来ないものかと思いはじめ、食品製造会社という立場を利用して、缶詰にしたり、レトルト包装にしたり、試行錯誤が始まりました。


ちょうどその頃、お得意先のKという会社から、新商品開発の為の原料納品の話が舞い込んできました。今では、年間一億数千万食が消費されるようになった「たまごスープ」の誕生です。ベトナム戦争の軍需用として開発されたフリーズドライ(真空凍結乾燥)食品の技術が、一般商品へ応用され大きな飛躍をする、夜明け前の出来事です。


K社の開発課長村上(仮名)氏、フリーズドライ工場の開発担当中西(仮名)氏と何度も何度も打ち合わせを繰り返し、試作に試作を重ねて、「たまごスープ」は福岡で生まれました。それから10年の間、当初の年間20万食からピーク時には1億5000万食にまで消費が増えました。


私の念願の「そば米雑炊」商品化の夢は、その間の忙しさにかまけて忘れられていましたが、10年のブランクの後、少し仕事が落ち着いたので、「たまごスープ」製造工場へ開発を依頼し、フリーズドライの試作品が出来上がりました。味はまずまずの出来でしたが、製造コストが高く商品化は出来ませんでした。


私が夢を忘れていた10年の間に、K社の村上氏は「たまごスープ」のヒットで重役に昇進し、中西氏は、フリーズドライ食品の増産に合わせて、世界中にフリーズドライ工場を作っていました。恒例の業界団体主催の秋季総会に、講師として招かれていた村上氏と10年ぶりに再会し、講演の後、温泉旅館の彼の部屋で旧交を暖め、次回は中西氏を交えて3人で忘年会をしようということになりました。


稲毛駅前の小さな焼き鳥屋で、「たまごスープ」を生み出す苦労話に花が咲いた、3人での忘年会はすぐに実現しました。

「ところで中西さん、あんたは今何ばしよっとね」


工場「相変わらずフリーズドライさ。あ、そうそう、今新工場ば作りようったい。フリーズドライ一筋に生きてきた俺の人生の集大成の工場でね、世界一の設備じゃけん、井上さん見に来るね。年明けたら新聞発表するけん、もう見せられんよ、今なら見せてもいいが」


「おっ!行く行く。明日行くよ。」

と言って、翌日のスケジュールをすべてキャンセルして、世界一の技術の粋を集めたフリーズドライ工場を見に行きました。


従来の設備の欠点をすべてカバーした、最新式の機械は、他社のものより3〜4倍の能力がありました。工場を一回り見学し、応接室に戻って来るなり、

「中西さん、俺、やってもらいたいことがあるんじゃけど、福岡の工場で一度試作したけど、出来んやったのがあるったい。そばの実の雑炊やけどね、あの機械やったら、できやせんかねー?」


「ああ、いいよ。年明けたらすぐに試作しちゃろうたい。」

年明けの1ヵ月後、試作品が届きました。宅配の小包を開け、透明フィルムに包まれたサンプルを見て、

「おっ!これはいいぞ!」

急いでお湯を沸かし、袋から出し、器に移したサンプルにお湯を注ぐと、サッと溶けました。

「おっ!溶けもいい。」

雑炊スプーンで一口食べて、

「やったぁ!おーい!出来たぞ!ついに完成じゃー!」

私は大声を出して、家の中を踊って回りました。


初めて「そばの雑炊」を口にして25年、商品化しようと試作をはじめて15年の年月が流れていました。中西氏と出会ってちょうど25年、村上氏と出会って15年目のことでした。25年間夢を持ちつづけたこともですが、この二人との出会いがなかったら「やさいすうぷ」は生まれませんでした。


そして今、人とのつながりから生まれた「やさいすうぷ」の、「ああ、あの人に食べさせたい」と思わせるその心懐かしい味が、たくさんの人の心をつなぎ始めています。


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